帝国ホテル
外務省時代に家族で一度だけ帝国ホテルのスイートに宿泊しました。部屋は60m2ほどのエレガントで居心地の良い空間でした。立派な応接セットもあり、家族でくつろぐには雰囲気も最高ですし、立地も銀座や有楽町に近く、さすが日本を代表するホテルだと思う。施設面の充実であれば帝国ホテルよりも素晴らしいホテルがあると思うが、他とは明らかに違うのは伝統と格式だけに胡坐をかかず、サービスに努めるスタッフ一人一人がホテルマンとしての真の誇りを持っているからだと思う。
海外から一時帰国して一晩だけ立ち寄った帝国ホテルは、チェックインする際、何か私たち家族には違和感を感ずるものでした。身なりも周囲とは明らかに様相が違い、どこからみても好意的に受けるものではなかった。季節外れのコート、異常に多い手荷物、
「過酷な国でのご勤務、本当にお疲れ様でした」
「小さな子どもさんを連れた海外勤務は大変でしょう」
ロビーでの人間ウォッチング、いかにも旅行慣れしたスマートなご夫妻、肩下げカバンを胸でクロスした年配の団体様、いかにも金持ちだぞと言わんばかりの金ぴかギラギラの成金趣味のおじさん、
帝国ホテルは1890年11月3日落成開業。隣接する建物は明治・大正時代を代表する鹿鳴館で、その密接な関連を持ったホテルとして建設されたものです。その後、大正時代にアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトに設計を依頼。1915年(大正4年) フランク・ロイド・ライトは帝国ホテル設計のために来日し、1922年(大正11年)に帝国ホテルが竣工するまでに、遠藤新をはじめ多くの日本人建築家に大きな影響を与えています。1923年9月1日の竣工披露間際、関東大震災の被害を受けました。当時、建物には一切被害がなく、ライトの天才的耐震設計によるものであったというニュースが一人歩きしていました。ライト自身も建物はびくともしなかったと書いていますが、実際には無傷ではありませんでした。1967年(昭和42年)に解体され、現在はライト館の玄関部分だけが愛知県の「明治村」に保存されています。
ライト館にはチャップリン(1932年)やマリリン・モンロー(1954年)も宿泊したことでも有名ですが、日本初の「アーケード」としてオープンした「帝国ホテルアーケード」、ブッフェスタイルの食事も日本で初めて取り入れられたものです。
帝国ホテルのリピーターとしてまた宿泊したいと念じてきましたが、以来、帝国ホテルのスイートに宿泊することは実現できていません。
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