すっぺたはっぺた
三陸海岸の気仙沼市では「スッたのハゲだの言うんでねェ」ということもあるらしく、やはり同様な使い方をするのかと思います。スッペタ=スッたの、ハッペタ=ハゲだ。訛りはありますがほとんど一緒です。青森県八戸市生れの妻と、宮城県石巻市生れの私では言葉も若干違います。そんな思いを神戸新聞の随想に掲載させてもらいました。
妻は青森県八戸市の出身で、本格的な南部弁を話している。現在でこそ標準語に近い南部弁だが、お年寄りの中には何回聞いても理解できない発音がある。南部弁を「カタカナ」で表記しても、そのままでは発音できない。標準語の発音とは違うし、表記不可能な言葉も多くある。微妙なニュアンスの違い、アクセントも当然ながら違う。
宮城県石巻市で育った私は、学校での授業はすべてズーズー弁であり、仙台弁だった。テレビが普及し、全国どこでも均一化した言葉が話されていく中、わが母校は相変わらず伝統的な言語を大事に伝えていた。社会や理科、英語、そして国語の授業もズーズー弁、でも不思議と教科書を読むときだけは標準語。ただし、発音は線代弁のまま。
テレビのドラマでさえ、「東北・・・」という名前があるだけで、必ず字幕が付いたりするが、役者の言葉は確かにズーズー弁なのに、発音やアクセントが明らかにおかしい。その度に、我が家ではその言葉はこう発音するんだとばかり、突然ズーズー弁モードになって会話が始まる。字幕を見なくて理解できるんだと勝手に優越感に浸っているのである。
南部弁の妻、仙台弁の小生、但馬弁の息子たち。そういう意味では我が家はバイリンガルの集まりである、と言っても過言ではない。東京生まれ東京育ちの人は、標準語しか使えないが、我が家では南部弁も線代弁も但馬弁も標準語だって自由に使いこなしている。小さな文化の違いを理解できない日本人が多い昨今、我が家で飛び交う方言は文化の縮図そのものだと言える。
言葉が乱れている時代だからこそ、地方の方言を大切にし、日本語をもっと豊かにすべきだと思う。
ふるさとを離れて30年以上になるので違うかも分かりませんが、小さい頃に「すっぺたはっぺた」とよく言われた気がします。最近になって、妻がああだこうだと口うるさく言うときに、つい「すっぺたはっぺた言うな!」、と切り返すことがあります。でも、この使い方って本当に合っているのだろうかと疑問になるのです。小学生の頃、何か気に入らなくてごねるときに、「すっぺたはっぺたって言うな」と怒られた記憶もあります。こうしてパソコンで打っていると、変換すると勝手に「入力ミス」となるのです。間違っているのではなく、方言で書いているにも関わらず、機械では判読不可能となります。素晴らしい人工知能があったとしても、この微妙な曖昧なニュアンスをどう機械が捉えてくれるのか、疑問が残ります。おそらく言語不明瞭意味不明で、外国語以上に困難な読解作業となるのでしょう。
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